【責任水量制がもたらす現状の課題】
工業用水の料金体系には、契約水量分の料金を支払う「責任水量制」と、基本料金および使用した分の変動費に分けた「二部料金制」があります。
ほとんどの水道事業者では「責任水量制」を採用しており、「二部料金制」をとっているところは全国で1割にも満たないようです。
さて、この「責任水量制」。ご利用になっている企業の皆様であればご存じの通り、使っても使わなくても一定の水道料金を支払わなければなりません。しかも一度契約したら、原則として契約内容の変更ができないのです。
確かにこの契約は、高度成長期に事業拡大を続けていた企業にとっては、有益な制度でした。
契約水量分なら安定した供給が保たれるわけですから、事業活動も安心して行えるわけですし、事業拡張・拡大につなげていくにも有意義な制度だったのです。
ところが、契約してから40~50年が経過したいま、契約水量と実際に使っている水量がかけ離れている企業も増えているようです。
産業構造審議会「工業用水道政策小委員会」の調べによると、契約水量に対する実給水量の割合は7割程度。
およそ3割の水を、未使用なのに料金を払い続けているという実情があるのです。
こうなると、契約内容を変えたいところですが、先に述べたとおり一度契約したら原則として契約内容の変更ができません。
もっとも、水道事業者側にとっても1m3あたり10円程度の安い価格で提供しているわけですから、利用者側の都合で簡単に契約内容を変更されては、水道事業者の経営が成り立たないという理由もあるのでしょう。
とはいえ、時代の流れとともに契約水量の見直しを求める声が多くなっているのも事実です。
【契約水量の見直しはできる?】
各水道事業者の契約書には、「特別な理由がない限り減量や廃止はできない」といった旨が記載されています。つまり、「特別な理由」があれば、見直しは可能です。
ただし、その理由も「大規模な施設更新がある」「既存施設の減価償却が終了し、投下資本が回収された場合」など、高いハードルが設けられています。
もうひとつの方法としては、「二部料金制」を採用している水道事業者の管内であれば、こちらに変更することも可能なようです。もっとも、横浜市水道局など一部の事業所に限られます。
【余った水を別の方法で利用する】
もしも余った工業用水を「上水道」として活用できれば、工業用水の契約を変えることなく、さらに上水道の料金を抑えることが可能になります。
そのシステムが「工業用水活用システム」です。
当社では、工業用水を原水とする上水道代替システムを建設しています。
上水道の一部を工業用水をろ過した安全な水で代用することにより水道料金の削減が期待できるほか、上水道との複数水源確保で断水等の災害対策にも活用できます。
実際に導入されている工場では、製品の原料、洗浄水、飲み水、水洗用トイレ、冷却用など上水道とまったく同じ用途に使用しています。
このように、工業用水を有効かつ有益に活用できるシステム導入をご検討されてみてはいかがでしょうか。
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